一般例として変形に適していないオブジェクト

左のオブジェクトはひじ関節部分を2重ラインで作成し、筋肉の隆起などをサブパッチの特性を利用してローポリのポイントを大きく引っ張って作成したものです。

ごらんのように腕を伸ばした作成時はメリハリがあり、ローポリとはおもえないほど非常に良く出来ていると思います。

ではこのオブジェクトを曲げてみましょう。

左がBaji's Boneで曲げたもの。

右が通常のボーンで曲げたもの。
  メイン2本は力300%
  腕には接合部分の補正、および筋肉の発生を行っています。
  おさえのボーンは100%

ごらんのように、変形前は非常に良好だったシルエットが、ひじの尖った部分を除いて大きく崩れています。

また、Baji's Boneの方では、通常の直線で2重ラインの方が良好です。

この現象は以下の理由から発生しています。

分かりやすくするために上腕と腕とでウエイトマップを買えて表示してみました。

まず左上のサブパッチのオブジェクトですが、見かけ上関節の稼動部にある黄色のポイントは緑の関節回転付近にきれいに並んでいます。

しかし、ポリゴンの状態では下のように実際のポイントである紫のは上腕部方向にあり、大きく異なっています。

 

多くの場合、レンダーでは、オブジェクトのサブバッチはモーフやボーンなどの変形適用後、最終段階で行います。
つまり、ボーンが影響を与えるのはサブパッチで擬似的に作成されたポイントではなく、ポリゴン状態でのポイントだということです。

これから考えれば、上腕を構成するポイントの内、大きく上腕方向へ引っ張っているポイントは腕の影響より、上腕の影響の方が大きく受けるということになります。

そのため、作成時のサブパッチで成型されたオブジェクトはその形状を保ったまま曲げることができないのです。

また基本的に、曲げた状態を考慮して作成したものではありませんので、曲げたときに元の形状を維持できなのは当然のことです。

ちなみに、ボーンの影響力は距離の16乗(デフォルト)で減衰しますので、これをマップなどでコントロールするのはかなり大変で、しかもその苦労に応じた結果は到底望めません。

 

また、ひじ外側が尖っているのは結果として曲げた際ポイントが近づいているためです。

なお、このサブパッチによって3次曲線を作成する技術はモデラーでオブジェクトを作成する為に考案された技術で、通常はこれをポリゴン化して使用します。

【注意】
Baji's Boneとは限りませんが、関節部分で曲げることに適している形状は、ローポリ、ハイポリ関係なく、ポリゴン時のポイントとサブパッチ時の擬似ポイントが大きくずれていないことです。
さらに関節部分でそのポイントが関節部分を中心に交錯している場合は動きが逆になるため、問題の発生率も高くなります。ご注意下さい。
なお、これらの場合でもBaji's Boneを使用すると上記CGの通り、通常配置のボーンより格段に再現力は高くなります。

ただし、曲げる箇所にそれに則したポイントが無い場合は、いかなる場合にもかかわらずボーン変形には不適切です。